神経病性関節症(シャルコー関節)による膝の異常

シャルコー関節とも呼ばれる神経病性関節症は、脊髄の中を通る中枢神経や末梢神経に障害が起こることで下半身の感覚を鈍らせてしまいます。そして末梢神経が関係する為、下肢の関節、特に膝に多く発症します。




シャルコー関節の症状と原因


この障害は神経に異常が起き、関節の防御機能が無くなり関節が破壊され変形したり水が溜まることもあります。

その他にも、関節の腫れ・ぐらつきや不安定感・すり減った骨のかけらの大量発生などの症状が見られます。

しかし神経病性関節症は症状がすぐには出ず、発病から数年経ってから発症することが多く、発症後は急速に進行し早ければ数ヶ月で膝の関節を完全に破壊してしまう場合もあります。

神経病性関節症が起きる原因は、脊髄癆・脊髄空洞化・糖尿病・梅毒などが挙られます。


症状が悪化しやすい


これらの病気にかかると感覚が鈍くなり、体に大きな負担がかかっていても気づかず、痛みも感じにくくなります。

その為、正常な人なら痛みを感じてできないような姿勢を長時間とり続けてしまったり、関節が本来動ける範囲を超えて無理に動かしてしまうということを繰り返す結果、関節への負担が蓄積され関節の破壊がさらに進行してしまうのです。

痛みというのは体の異常を伝える重要なサインですが、これが機能しなくなることで関節の異常に気づかず大きな負担をかけ続けてしまいます。

このような状態になると関節はかなり脆くなっている為、簡単に骨折や脱臼をしてしまうこともありますが、骨折していることにすら気づかず関節の変形していくこともあります。

変形性膝関節症なども加齢によって膝関節の老化や変形が起こりますが、神経病性関節症の患者の場合はさらに関節の変形や破壊が進んでいることがあります。


シャルコー関節と診断されたら


神経病性関節症は、深刻な症状であるにもかかわらず痛みなどの自覚症状が乏しいという特徴があります。その為、神経病性関節症と診断された場合は、痛みを和らげる治療よりもこれ以上関節の変形を防ぐ治療が中心になります。


治療法


症状が進行している場合は、関節を固定する手術、関節を金属や強化プラスチックの人工関節に置き換える手術、関節内の骨のかけらを取り除く手術が行われますが、症状がそこまで重くない場合はサポーターやコルセット装着し膝を固定することで膝の負担を減らし、これ以上の変形を防ぐ治療が行われます。

それと同時に神経障害の原因となっている病気の治療も神経病性関節症の進行を食い止める為には必要になります。

                     


原因となる疾患の早期治療が重要


神経障害を引き起こすということは原因になっている疾患もかなり進行していることが考えられますので早急な対応が必要な場合もあります。

神経病性関節症の原因にもなる糖尿病は、進行すると糖尿病網膜症、糖尿病腎症も引き起こします。

糖尿病網膜症は網膜の血管に障害が起き、目のかすみや視力の低下、症状が進むと失明してしまうこともあります。

糖尿病腎症は腎臓の働きが低下することにより、血圧の上昇、尿にたん白が出る、体のむくみなどの症状が表れます。
さらに症状が進行すると血液中に老廃物が溜まり、腎不全や尿毒症などの生命に関わる重篤な症状を引き起こし、腎不全になってしまった場合は人工透析を受けなくてはいけない状態になります。


このように神経病性関節症の裏には、命にかかわる病気の存在がありますので、それらの病気の早期治療も重要です。

                  

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